中3・Tさんのバラード第2番

中3生Sさんのレッスンでの感想を。

 

Tさんは数か月間、ショパン・バラード第2番に取り組んでいましたが、昨日は「最終の仕上げ」と完成を目指してレッスンに来てくれました。

 

バラード第2番は最後の2頁=Agitatoのコーダ=が技術的にも難しく、ただがむしゃらに弾くだけでは激しさが雑然と溢れ出てしまい美しくなくなってしまいます。ところが、昨日のTさんの演奏はAgitatoを見事に美しく情熱的に演奏していました。和音を掴みながらたたみかけるように激しく進行していくコーダを、ミスタッチもなく豊かな音で確実な技術で大きなうねりを表現してくれました。演奏後、私は思わず「素晴らしい!!」と拍手をしてしまったほど。

 

Tさんなら弾いてくれる!と期待を込めてこの曲を選びましたが、私が想像していた以上の完成度で仕上げてくれました。バラード2番を弾くためのこの曲に潜む技術を毎回のレッスンでTさんにアドバイスしましたが、それを着実に自分のものにしようと練習した結果、昨日の演奏に繋がったのだと思います。

 

Tさんには、「中学3年生という今の年齢でこれだけ演奏できていたら充分。これから成長を続けていくと、Tさんはこの曲をもっと進化させることができる。是非これからもピアノを続けてね。」と私の心からの声を伝えました。

進学校に通い、更に運動部に所属しながら、ピアノも続けているTさん。限られた時間の中、指摘されていることの本質を理解し、集中して練習する・・・簡単そうで実は難しいこのことをTさんは実践出来ているのだろうと思います。

 

「曲中のここを弾く前に、ハノンのこの練習を必ずやっていました。」と話す言葉からも、Tさんが家で真摯にピアノに向き合っている姿が浮かんできて、嬉しくなります。

 

昨日のレッスンでの、感動した一コマでした。